1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

47. グループ・インタビューによるニーズの開発

ニーズを開発するには消費者の生の声はヒントの宝庫です。生の声のひだ、背景、また、少数(1人の)の意見でも、いままでにない新鮮な意見などは特に重要です。
定量調査は商品コンセプト仮説をつくることより、どちらかというと検証に有効だと考えています。
今回はグループインタビューの方法、それも調査会社に頼むのではなく、自分たちで、気軽にチャレンジするという視点で、3回に分けて述べてみます。ポイントだけ押さえればやりたいときにすぐ出来る、仮説発見型調査です。

まずは、目的です。

少人数のグループメンバーがお互いに影響し合う場面をつくり、そこから既存商品についての不平、不満、改良すべき点についてのヒント、アイディア、および望ましい新製品の特性についての情報を、実際の生活を通して収集し、新商品仮説の抽出および、仮説の質的な検証を目的とする調査方法です。
大切なことは、参加者の双方向的な意見を聞く場だということです。司会者が直接的に「○○さん、どうですか」という一対一の聞き方ではなく、「みなさんはどうですか」という問いが大切です。調べるという感じではなく、自発的意見による、教えてあげたいと感じる場づくりがポイントです。参加者同士の自発的意見により、参加者の態度が変容して行くプロセスは、魅力的なヒントです。

これからのグループインタビュー

商品のニーズとそのWHYを聞くことが主目的ですが、これからは生活問題を重点に、新しい生活提案、不満不足の解消から生活ポジティブ提案へ、すなわち生活DELIGHT提案、生活ソリューション提案、新カテゴリーの商品を開発することが大事で、そのためにも有効な方法です。
そのためには、問い方も、運営の仕方、分析の方法なども革新をしていかないといけないと考えています。日本オリエンテーションの経験はお役に立つと思っています。

グループインタビューの誤解

ただ、グループインタビューに対する誤解があります。インタビューをやってもアイディアがでない、やっても無駄ではという意見です。インタビューをすれば、ストレートに新商品アイディアがでてくるのであれば、新商品開発は楽な仕事です。でてくるのはヒントです。そのヒントを基にアイディアを作り出すのは私ども商品開発のプロの仕事です。

グループインタビュー成功の条件としては

1. 適切なメンバーの選択と構成
2. 適切なテーマと質問内容
3. 運営の仕方
4. 分析
の4つのポイントがあります。

調査対象者の選定 (1)これからの適切な対象者とは

1. 見込み客を代表し、特殊な偏りをもたない人いままでは、普通、一般の人が調査対象になりましたが、これからの商品開発は、誰にでもという商品では魅力になりません。もっと鋭角な商品でないと成功はしません。ナショナルブランド商品が魅力的でなくなってきているのは、まだ、みんなという視点で開発しているからです。ローカルブランドの方が、鋭角で、想いが深く魅力的な商品が生まれてきています。
テーマの商品から見た、興味関心度の強い人、ヘビーユーザー、特殊な興味を持っている人、時代のオピニオンなどがこれからの重要な対象者です。

2. 年齢、職業、性別、生活地域、生活水準、興味、関心などの側面についてその目的に合わせた共通な人々による等質なメンバー構成であること。
これは生活環境が異なる人同士が、同じテーマで話しても、話す内容がかみ合わない問題をなくすために大切です。
車大好きな人と、車にあまり関心がない人が集まっても話は弾みません。

3. 一般的には地域先行性のある東京が選ばれます。
エリア商品の場合はそのエリアでやることはもちろんです。

対象者の選定ではこんな失敗がありました。

住宅メーカーが、住宅ニーズを探りたいと、これから住宅を建てたい人を対象者に選定したことがありました。まだ具体的な計画を持っていない人が対象者に入ってしまい(10年後にはぜひ建てたい人など)具体的ニーズがでてこなかったことがあります。
この場合は、この半年で住宅を建てた人のグループ、その人達がどんなことを考え、どんなことをしたか、また建てた後どんな不満があったか、どんな点に満足しているのかを具体的に聞くグループと、この半年以内に住宅を建てたいと計画している人のグループが有効対象者になります。

また、昔の話ですが、男性用育毛剤を開発しようとしていた化粧品メーカーのケースです。グループインタビュー結果から、育毛剤のニーズはないと結論したようです。どんな対象者に聞いたのか尋ねてみたところ、すでに髪の毛がまったく無い人を対象者に選んだそうです。もう使っても変化が期待できそうにない人に聞いてもニーズはでてきません。本来はちょっと薄くなったと感じて、人には言えないで悩んでいる人に聞かなければいけなかったのに。その企業はこちらのアドバイスに基づき再調査をしました。リクルートは大変だったようですが、成果を得ることが出来ました。

(2)対象者の人数とグループ数

1. 対象者の人数
個人に面接するよりも広い範囲をカバーし、十分に参加者が意見を述べ ることができる大きさでなければなりません。
一般的には5~7人/1グループで、最大でも8人位が上限です。

2. グループ数
調査目的によってグループ数は異なる。
グループ数の決定は、まず初め1グループ実施してみて、その結果に基づき適切なグループ数を決定するも有効です。

(3)調査対象者の選定例

1. 食品の例
ホームテイスターとしての主婦の場合
以前は主婦年齢で対象者を分けていたことがありましたが、現在は、子供との関係で対象者を分けることが一般的です。
例えば、子供なし、子供あり幼児、子供あり小学生、子供あり中高校生の 中供、大人家族、二人大人家族などです。
私がいま興味を持っている対象者の分け方としては、女性中心家族(父親、母親、長女、次女)、男性中心家族(父親、母親、長男、次男)ミックス家 族(父親、母親、一男一女)、または夫婦共に正社員である働く女性家族、 団塊世代の共家事家族はおもしろい対象者だと感じています。

(4)対象者の選定の注意事項 1. 比較的複雑な条件を満たす被面接者を選定する必要がある場合には適格者を見いだすためのスクリーニング調査も必要が必要です。
2. 普及率の低い商品やブランドの使用者を対象にした調査を実施する場合愛用者カードをもとに標本を選定するのも一案です。
3. コネとかツテを頼って対象者を募る時には偏りができないように特に注 意する必要があります。
同じマンション居住者、同窓生などだけだと偏って意見になってしまいます。
4. 参加者はできるだけ互いに知り合いでないことが望ましい。どうしても 仕方がない場合、知り合いは2人までとする。3人以上は一つの塊になってしまい、話が偏ってリードされてしまいます。(顔見知りの人との席は隣同士に着席しないような工夫も必要)5. 参加者はできるだけグループインタビュー未経験者であることが望ましい。
理想ですが、現状はそういう人を見つけることが難しくなっています。

日本オリエンテーション 松本勝英

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