1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

48. グループ・インタビューによるニーズの開発2

 前回はグループインタビューを有効に展開するための基本的考え方と、対象者の選定問題について述べました。
今回は、グループインタビュー・ガイドの作り方にについて述べてみます。

インタビューガイドづくり

実際の面接に入る前に調査目的にしたがって、調査項目の決定を行い、インタビューガイドを作成することが必要です。
 インタビューガイドには、調査の目的、聞き取るポイント、特に周辺情報、分析のポイントを中心に「インタビュー内容の項目別リスティング」と「問い方、進め方の案を練る」2つのプロセスがあります。
インタビュー内容の項目別リスティングは、開発に関係する人たちが知りたいと思っていることをすべて出し、インタビューの運営をスムースにするためと、終わって聞き忘れがないようにするために重要な仕事です。
問い方、進め方は、易しいことがらから聞き、だんだん考えて答える難しい質問へ、時間がたつと対象者も疲れてくるので、最後は易しい質問をすることが、調査の流れです。
最初から、商品の理想イメージを聞いてもなかなか意見が出ず、インタビューそのものが盛り上がらず、失敗することがあります。
一般的な流れは、導入インタビューから入って、使用実態、不満、希望、理想そして、購入実態の順に聞いていきます。

導入のポイント

 1. 司会者のあいさつ ちょっと笑いがでるような司会者のあいさつが必要です。笑いがでると雰囲気が和んできて、話しやすくなります。

 2. 参加者の自己紹介 狙いは、ラポートをかける(心を通じる)、話し合いの動機付け、対象者のパーソナリティーの把握、対象者の生活背景を把握することで、家族及び関心を持っていること、趣味などを話してもらう。
「自己紹介の目的は発声練習ですよ」とその場の雰囲気を和らげることも有効です。

 3.対象者の調査 グループインタビューが始まる前に事前に対象者の調査をしておくことが必要です。家族構成、年齢、職業、私用ブランド、使用量、テーマ商品に対する興味関心度など。後の分析にとっては重要な情報になります。

テーマインタビュー 1. テーマ商品の使用目的、使用実態

何を、いつ、どこで、どのように使用しているのか、この商品がなかったら何を代替として使用するのか、使用に対して、どんなことに注意しているのか、大事に使っているのか、気軽に使っているのか、日常的に使われているのか、断続的、特別なときに使われているのかなど。
こちらが想定していない使い方がでてくれば、発見です。その使い方をクローズアップさせ、普及させることはチャンスです。

2.テーマ商品の不満点、満足点

不満点の解消は商品開発の切り口として重要ですが、すでに製品の完成度が高くなり不満点が少なくなっているのが現状です。詳細に襞を聞いていくことが重要です。どんな使い方においての不満か、機能、効用面の不満、競合商品との比較における不満などがポイントです。

3.テーマ商品のプロダクト・プロフィールと理想像

どんな商品だったら買いたいか、使いたいか、必要条件、魅力条件は。
なかなか意見が出にくい点です。

4.購入実態

どの種の店で、いつ、どれくらい購入するか、購入時のポイント。

5.ブランドイメージとブランド選択理由

どのブランドを購入するか、ブランド選択理由、何から何へスイッチしたのか、ブランドスイッチの理由。

6.最後の新商品仮説があれば仮説の検証としての質問

コンセプト仮説を提示し評価を受ける。ステップとしては3の「テーマ商品のプロダクト・プロフィールと理想像」の後がいいのでは。

冷凍食品での質問項目例をあげてみます。
 ・使用方法;いつもか、限定時・場面か、よく利用するときは、弁当時以外には、不意の来客、帰宅不規則、季節
 ・どんな冷食が;半調理、素材、素材の種類
 ・期待;味、保存、回答、調理、経済性、イメージは
 ・購入のポイント;品質、味、量、値段
 ・購入のきっかけ;CM、チラシ、販売店、口コミ、いろいろ試して、不満があったからなど。

最後に

定量の調査でも、定性の調査でも、何を知りたいのかのリストが出来るということは、テーマ商品を理解することであり、重要な仕事です。項目のリストアップは企業内、開発関係者で作成してください。調査会社に丸投げすることはとんでもないことです。
聞きたい項目のリストが出来ると、開発担当者としては1人前になったといえるのではないでしょうか。一度一人で作ってみてはいかがでしょうか。

日本オリエンテーション 松本勝英

バックナンバー一覧 次のスパーキング