1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

35. 商品開発・成功体質をつくる -10「継続的革新」

まずは継続的改良

成功を、より大きな成功へつなげるには「継続的改良」「継続的革新」が必要です。

成功した商品の成功確立は、1/10といわれています。
成功した商品をより大きな成功へつなげるには「継続的改良」が必要です。
真の強者にするためには、顧客の満足度を、年率3~5%向上させる改良が大切です。
そのためのステップとして 1. 新製品を発売したときから改良を始める2. まず品質の向上を図る 3. 次に品質を落とすことなくコストダウンをする4. 次に感覚的な魅力を高める(例えば香りをよくする)5. パッケージデザイン、ラベルを変えて鮮度を高める
改良=リニューアルとは「創造的な適応」です。
小さな改良も10年続けると一つの大きな技術革新になります。

基本的考え方は、飽和した市場などない、飽和したと思う、飽和した未熟な精神が問題。市場の死ではなく、飽和したと思う、思考の死が問題です。

「継続的革新」

新しい製品・生産プロセス・サービスは、すべてそれが初めて損益分岐点に達した、その日から陳腐化が始まる。従って自社で陳腐化させることが、競争相手による陳腐化を防ぐ唯一の方法です。
すぐに次世代商品の開発を進めるべきです。止まってはいけません。
競合がない場合は、自社商品を仮の競合として、仮の自社競合商品に勝つプロジェクトを作りチャレンジすることも必要です。
カルピスを倒すプロジェクトを、カルピス内に作るという発想です。

過去の成功体験を捨てることが、新しい成功を生む

究極のシナリオは、古いものの体系的廃棄です。3年毎の存否をかけた体系的廃棄の検討が必要です。
ホンダにおける、"本田宗一郎を忘れろ"は継続的自己革新です。
過去の成功体験を破棄することは、組織としては、なかなか難しい問題があります。私が仕事をしていた化粧品メーカーでも、トップは過去の成功体験を捨てて、新しい成功体験を作れと何度も述べていますが、なかなか進みません。決済をする部長クラスが、過去の成功体験者で、過去の成功体験に基づいて判断しているからです。

過去の成功体験を破棄するためには、破局のシナリオを作成して、破局から再生するプランを作ることが必要です。
時代・社会の変化、市場・マーケティングの変化、競争戦略の変化、生活者の変化、流通の変化、技術などの変化に基づく破局のシナリオを作成して、それを基点に再建シナリオを作成し、進路を決定していくことが必要です。
成功企業だからこそ、潜在的危機意識を顕在化させ、破局のシナリオを作成する。そのことが「革新」です。
継続的革新自体が企業戦略です。

日本オリエンテーション 松本勝英

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