1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

32. 商品開発・成功体質をつくる -7「創意無限、一聞百考」

「創意無限」の人づくり

アイディアは、有限ではなく無限です。
アイディアが、ドンドン出る人と、出ない人がいます。
アイディアがドンドンでる人は、よく話をする人です。
まだ、アイディアが固まっていないときでも、話をしていくとアイディアが発展していき、考えていたアイディアが、明確になった経験をしたことがあると思います。

よいアイディアを生み出していくには、よい話し相手を見つけることが重要です。
よい話し相手とは、よい聞き役です。まだ、ふにゃふにゃなアイディアを形にしていく時に勇気づけてくれる人です。
うなずき、「なるほど」と、まずは興味を示してくれる聞き役です。

よい話し相手の代表は、赤ちゃんと話をしているお母さんです。
お母さんは、いつも子どもの話をオウム返しにして聞いています。
「痛いの、どこが痛いの」「お腹がすいたの、何が食べたいの」「行きたいの、どこに行きたいの」。お母さんは聞き役の名人です。

それに反して、悪い聞き役は首を横に振る人です。無意識に悪意が無く首を振っている人もいます。気をつけてください。
そんな人に話をし、否定されると、生まれたてのアイディアの意欲が低下し、発展しない経験をしたことがありませんか。
私も、セミナーの時には、うなずいてくれる人を見つけ、その人に向かって話をしないと、乗っていけません。つまらなそうに聞いている人に向かって話し出すと、話がしぼんでしまい、意欲が吸い取られてしまいます。話が本当におもしろくないのか不安になります。おもしろくないのかな?

アイディアをドンドン出せる人は、例え話に強い傾向があります。
まだ、世の中にないモノ、コト、ヒトの話をするときには、具体的にイメージを伝えることなかなか難しいです。その時は例え話が有効です。
何々自動車のような乗り心地とか、なになにレストランのような、こってり感とか、この前の広告のようなトーン&マナーのだとか。
例え話に強くなるには、いろいろなことへの興味が強くなければなりません。

トヨタの仕事の進め方の一つに「会って、会って、会いまくれ」という言葉があるそうです。アイディアが出なくなったと感じたり、本能が退化してきたと感じたら、人間浴が大切です。
話をしないでいると、アイディアはドンドン腐っていってしまいます。

「一聞百考」の人づくり

何でもよく知っている人がいます。
いま何がヒットしているのかと聞くと、いつでも答えられる人がいます。
しかし、なぜヒットしているのかと聞くと、しどろもどろになってしまいます。
これでは、よいアイディアは出ません。
なぜ、ヒットしているかを深く考え、ヒットの本質を深く把握している人にはかないません。
携帯電話がヒット商品になってきたときの会話です。古い話ですが。
携帯電話は 「ON,OFF自由なコミュニケーションツールだから、若者にヒットしたのでは」 「なぜ、ON,OFF自由なコミュニケーションツールがヒトするのか、それは若者の共同体が無くなって、電子共同体への依存性が高まったからでは」 「これからは、身体感のある商品の開発がおもしろいのでは」 一つを聞いて、百を考えるステップです。

また、トヨタの話になってしまいますが、トヨタには、機械が止まった元を発見するステップがあります。

・なぜ機械が止まったのか?→オーバーロードでヒューズが切れた。
・なぜオーバーロードがかかったのか?→潤滑が不十分。
・なぜ潤滑が不十分?→ポンプが油を十分汲み上げなかった。
・なぜ油を十分汲み上げなかった?→ポンプの軸が摩耗してがたがたしていた。
・ なぜ軸が摩耗してがたがたしていた?→濾過器が詰まっていていないので切り子が中に入ってしまった。
5つの、WHYです。
「一聞百考」とは、WHYの追求です。

これからは「創意無限、一聞百考」の人づくりが重要です。

日本オリエンテーション 松本勝英

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