1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

18. 競合構造の変化

競合構造の変化

競合関係が変化しています。
いろいろな競合が起こり、それが多層に重なって、複雑にしています。
今までの、主な競合は、同じカテゴリー内の競合でした。
「カテゴリー内競合」に対して、新たな競合は、「カテゴリー外競合」であり、「異業態間競合」であり、そして「グローバル競合」です。

冷蔵庫と海外旅行が競合する時代

「カテゴリー外競合」はチャンスになると同時に大きな課題でもあります。
カテゴリー外競合には2つのタイプがあります。
ひとつは、同じベネフィット内での競合です。
おにぎり、カップヌードル、マクドナルドの競争です。カテゴリーが異なっていても、「小腹癒し」というベネフィット競合です。菓子、飲料の一部も競合です。

もうひとつの「カテゴリー外競合」はちょっと複雑です。私の経験をお話します。
500リットル以上の超大型冷蔵庫の開発プロジェクトのコンサルティングをしていました。その超大型冷蔵庫の価格は、コストから考えると30万円を超える価格になりそうでした。

私は、「今、家族揃って30万円を使うとすると、なにに一番使いたいかを考えてください」 開発担当者の中から、「海外旅行では」との意見が出ました。
「一家で海外旅行へ行くより魅力的な冷蔵庫を開発しないと、このプロジェクトは成功しないかもしれない」 冷蔵庫がない家庭はありません、30万円を楽しく使いたいと考えている人は多数いるはずです。
30万円を、冷蔵庫と海外旅行が取り合っているのが現状です。
海外旅行より魅力的な冷蔵庫が開発できれば、海外旅行の市場をとることも可能ですが、そうでないと海外旅行に市場が取られてしまいます。
冷蔵庫と海外旅行が競合する時代です。

蛇足ですが、「カテゴリー内競合」も変化しています

「カテゴリー内競合」も変化しています。とっくに変化しているのにまだ気づいていない人もいますが。
「レース型競争」から「ゲーム型競争」への変化です。
レース型競争とは市場のパイが拡大している状況で、業界協調です。みんな仲良くで、カテゴリー6位以内の商品でも利益がでる、陸上競技における6位まで入賞と似ています。

1位、または2位の商品しか利益がでない

「ゲーム型競争」とは、市場のパイが拡大せず、市場全体が縮小している状態での競合です。
市場のパイが縮小しているので、自社の成長を図るためには他社のシェアを喰っていくことが必要になり、価格競争が展開され、売価が下がり、1位、または2位の商品しか利益が出ない状況です。
ボクシング、相撲のように倒すか、倒されるかの競合です。
この競合状況では1位または2位にならなければ利益がでない、3位以下ではマイナスの利益しか得られない競合状況です。

商品開発部門の使命は、新商品を開発することではありません。利益を生み出すことです。新商品開発はそのための手段です。利益を生み出すとは、1位、または2位の商品を開発すること。3位以下の商品を開発しても商品開発部門の使命を達成したことにはなりません。
1位、または2位の商品を開発していますか。仕組みを作っていますか。

日本オリエンテーション 松本勝英

バックナンバー一覧 次のスパーキング