1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

14. 次世代の必需品開発

チャレンジ第3の課題

日本オリエンテーションがチャレンジしている、商品開発解決課題の3番目は、次世代商品の開発です。

今までの商品開発視点の差別化、独自化でもなかなか新しいマーケットを作ることは出来ません。概念の転換が必要です。
これからは、次世代の社会と個人にとっての必需品開発です。
携帯電話は過去の必欲商品でしたが、今は必需品です。プラズマテレビはこれからの新必需品です。それでは近未来の新必需商品とは何か。

人間品質・世界品質・地球品質

このことを考えるには
・ 「人間品質」の開発
・ 「世界品質」の開発
・ 「地球品質」の開発
の3つの視点が必要です。

人間学に基づく人間品質を

まず人間品質を考えてみたいと思います。
ある自動車メーカの開発者とこんな話をしたことがありました。
自動車のハイテク化を進めると、人間にとって乗りにくい車になってしまう。機械のリズムと人間のリズムにズレが生じて乗りにくくなるのでは。人間の呼吸のリズム、心臓のリズム、脈のリズムと機械のリズムのマッチングを研究しているのですか。こんな話でした。

疑問があります。板チョコの形状は本当に人間にとっておいしい形状なのでしょうか。作りやすくて、運びやすくて、店頭に置きやすい形に見えますが、口中に入れたとき、脳が本当においしく感じる形状なのでしょうか。
認知心理学、神経生理学、動物行動学などを統合した人間学に基づく人間品質の開発が大切になるのでは。

グローカル品質

世界品質も重要課題です。 日本のメーカが世界のマーケットを目指してグローバル商品、ブランドの開発にしのぎを削っています。
しかし均一の品質、価値を世界の人々は求めているのでしょうか。
世界の人々が求めているのは、自分たちの文化とは異なる魅力的な「文化価値」を基にした商品、サービス、ソリューションではないでしょうか。
ベンツ、BMWは中国で開発するのには無理があるのでは。車の文化の違いはなかなか乗り越えられません。中国は中国の文化価値を再発見して、どんな車を将来発信してくれるかは興味があります。しかしまだまだ時間がかかると思います。

単純に述べてしまいますが、ヨーロッパは伝統文化、ラテンは明るく陽気な文化、アメリカは進歩の文化、アジアはいい意味でのジャンクの文化、日本は繊細な文化?を各々持っています。トヨタ自動車も「もてなし」「余韻」などの和の文化を基にしたグローカル商品を発信していこうと考えているようです。

地球品質は環境問題の中心課題です。

技術には、作る技術、使い方の技術、捨て方の技術(リサイクルなどの捨てない技術を含めて)があります。作る技術は技術の中心ですが、これから重視されるのは、使い方の技術、どう使うと地球に負担をかけないかと、捨て方の技術が重要になります。いくら優れた作る技術があっても、捨て方がない商品は世界で許容されなくなるでしょう。環境特許も重要になります。環境特許を競合に押さえられてしまうと、作ることも売ることもできなくなってしまいます。

日本オリエンテーション 松本勝英

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