配信日:2005年09月20日
第144号
144号マツモトミネラルは、映画「埋もれ木」の監督、小栗康平氏の
エッセイと、経営関係4ミネラルです。世界は変化し、新しい価値の創出に
失敗する企業が衰退していく。
日本成長時の革命家 中内功さんが亡くなりました。合掌。
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■『生活実感』
★解 説
目でものを見るとは、そこには必ず「私」の感情が伴う。
しかもその感情は「私」しか知らない。「私」も他人がどういう想いでみてい
るのか、言葉を解さない限り、うかがいしれない。このことは大いに不安であ
る。私たちは生きる細部をよりよく見ようと努めてきたし、その手触りを大事
にしてきた。生活実感とはそのようなものだった。
戦後60年を経て、私たちは映像から多くの情報を手にしたけれど、自らが
よって立つ暮らしの細部を、自分で見つめることをしなくなってしまったよう
だ。生活実感、庶民感情というべきものを根こそぎ奪われて、絶望的ともいえ
るほど私たちは手触りのない世界を浮遊している。
過剰になった物語だけがかろうじて私を繋いでいるようだ。
小栗康平 読売新聞2005.07.26
★ミネラル
繊細さが失われ、鈍感になっている自分がいる。
昨日(9月14日)早く帰れたので、NHKテレビ「その時、時代が動いた」で
二宮尊徳の生き方を見ました。
生活の場面における繊細な眼差しに感動、一度本を読まなければと強く感じま
した。
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■『ソニーの最大のミス』
★解 説
ソニーの最大のミスは、「技術のソニー」から「商品のソニー」へ転換して
しまったことでは。
ソニーの高収益の秘密は、電荷結合素子(CCD)など高機能部品を世界で
初めて実用化、それを基に大ヒット商品を出す垂直統合モデル。
それが90年代はインテル、マイクロソフトに握られて「商品のソニー」になり、
価格競争に巻き込まれた。
経営者が継続的な技術投資の選択をしなかった。音楽・映画には投資をしたが。
液晶のシャープ、三洋電機の電池のように。
ソニーの構造改革案は中核部品の内製化や集中生産からスタートしなければ。
★ミネラル
「技術のソニー」が「商品のソニー」になってしまって、普通の企業になっ
てしまったのだ。強さを見失うことの怖さですね。
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■『モジュール化-2』
★解 説
ラップトップコンピューターという生産物システムが、液晶モニター、電子
基板、OSなどのモジュール(機能的にまとまった単位)からなるというのは解
りやすい。
しかし、そうした生産物システムを設計する知的活動や製造・販売するプロセ
スも、それらの活動を遂行する組織もモジュール化されうる。
今、関心を呼んでいるのは、そいういモジュール化である。
モジュール化は、複雑性を処理するため、昔から知られた方法であるが、それ
がシステムとして上手く働くには、モジュール同士を整合的に連結する、設計
ルールが必要。
個々のモジュールの革新を巡って、多数の企業が競争し、システムはそうした
競争の勝者の成果物を、事後的に選択・組み合わせることによって形成される
のがインターネット産業の今ある姿である。
青木昌彦(スタンフォード大学教授)日経新聞2001.8.3
★ミネラル
モジュール化のモジュール化という考えがおもしろいですね。
しかし何でもモジュール化はできない、モジュール化できないことをやること
が大きな価値、独自な価値を生むのではないでしょうか。部品メーカーになる
か、モジュールメーカーになるか、または非モジュールメーカーになるか、
それによって企業の取りうるべき戦略が異なってくる。
流通業はモジュール企業なのか?
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■『「バリュー・イノベーション」価値の革新』
★解 説
需要の停滞と競争の激化に直面する企業は、商品やサービスの質を少しずつ
改良しても、じり貧は見えている。慣行や自社の経営資源にとらわれず、
顧客に提供する価値を根本的に見直すことが必要だという考え方。
提唱者である、仏インシアード経営大学院チャン・キム教授。
バリューカーブによる、顧客がさほど重要だと思っていない価値を簡素化し、
顧客にとって重要な価値を、業界慣習を破って徹底する。
バリューイノベーション(ダイヤモンドハーバードビジネス)
★ミネラル
企業の再定義が必要を感じます。再定義して、価値あることに徹底する。
価値ないところは出来るだけ省く。効率的に新しい価値を創造しましょう。
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■『小世界の新組織論』
★解 説
「緩いネットワークの強み」
「親しい友人」からよりも「遠い知人」からの情報が重要。
複数のネットワーク間の構造的な発展可能性に注目。
今は、つながっていなく、離ればなれになっているか、あるいは接触頻度の
少なさから遠い関係にある複数のネットワークの間に「構造的な溝」がある。
この溝を埋めれば、有益なすき間が生まれる。構造的な溝に架橋することに
よって、従来、両側に局所的に滞っていた情報やノウハウが、結節点を通し
て一気につながる。結節点になった個人や組織が利得を独占する。
大切なのは位置取り、架橋である。
ネットワークの有効機能のためには、結節点間の結びつき方、すなわち情報
伝達の全体経路を定義づけるトポロジー(構造、形態)が重要。
外部から力が加わり、一時的にたわんだり変形しても、その基本型に戻る弾
力性や耐性を持つシステムの形状特性。
頑健なトポロジーの典型は、完全に規則的でもランダムでもないつながり方
の結節点を持つネットワーク、大多数の点は規則的につながっているが、一
部のつながり方にランダム性を残した小世界ネットワーク。
トポロジーは可変的。結節点同士のつながり形を一部変えるだけで、システ
ム全体の情報伝達特性も変化し、その振る舞いのパターンが一変する。
長い経路のリワイヤリングを数本、脱日常的な遠くの相手に仕掛けることで、
所与の認知や資源の制約を超える。
一橋大学教授 西口敏宏(「小世界の」新組織論)
★ミネラル
小世界の組織論が話題になっています。全く知らない人につながるために
は、たった6人の人でつながってしまう程、世界は狭いらしい。
おもしろい本をご紹介。「スモール・ワールド・ネットワーク」
ダンカン・ワッツ著 (阪急コミュニケーションズ)
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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★マイカレンダー9月6日(火)?9月17日(金)
この期間、8日(木)から17日(金)までの間の6日間は、新商品開発大全
「オリエンテーションセミナー」があり、事務所のみんなも大忙しでした。
私は、9日(金)の「商品コンセプトバンクづくり」で1日、13日(火)の
「商品開発感性トレーニング」を1日担当、それ以外にも会場に出かけ、ちょっ
とセミナー漬けでした。
6日間で、150名近くの方々が参加され、私にとってはおもしろい経験でした。
「商品コンセプトコンセプトバンクづくり」は、時代・市場・生活価値観の変化
に対して先手を打つためと、商品開発の高速化にとって重要なことです。
「商品開発感性トレーニング」は、直感(気づく力)を直観(本質を見抜く力)
へ、が大きなテーマです。演習を入れながら体感してもらうことを心がけました。
新商品開発大全2を11月29日から、現在計画進行中です。
ご興味ある方はお問い合わせを。 MailTo:webmaster@jorien.com
コンサルティング仕事は、市場創造、新カテゴリーを開発するテーマです。
どのように攻めるかのディスカッション。
おもしろいミーティングもありました。調査の質を高めるには。
調査が、いいわけ調査になってきている、企画を通すためのプレゼン資料になっ
ている、この事実に対して、現状を透視し、変化を発見しする調査にするために
どうするのか。
質の高い調査をするには、商品も、統計も調査も、生活探検も好きにならないと。
「想い」がないとダメですよね。
忙しい中、大長編映画を、それも平日に見てしまいました。
7日(水)岩波ホールで「輝ける青春」です。西田さん見ましたよ。
11時スタート、30分の休憩を挟んで17時40分まで、6時間10分の大作です。
イタリアの3世代の家族の物語です。
予約制で、なかなか予約が取れず、平日やっととれて、時間をやりくりして。
補助席も入って驚きでした。
イタリアの家族は、大河ドラマになります。
映画を見ては滅多にないことですが、3回鼻につーんと来てしまいました。
おすすめですが16日の終了です。
もう一本映画。「チャーリーとチョコレート工場」
ティム・バートン監督の描く、チョコレート工場が主役。おもしろいですよ。
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■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第144号 (2005/9/20) (c) 1999 Japan Orientation
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