1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

8. 脳と心をマッサージする時代

もう17年ぐらい前になりますが、メンタルケアー・フーズという商品を開発しようとしたことがありました。
空腹を満たす、栄養をとる食品に対して、脳と心を気持ちよくマッサージするそんな食品ニーズを感じていました。
仮説でした。

時代は、「消化器の時代」から「筋肉の時代」、 そして「脳と心を気持ちよくマッサージする時代」へ変化していました。
梅棹忠夫(うめさおただお 国立民族学博物館顧問)『文明の生態史観』の考え方をヒントにした仮説でした。
「消化器の時代」とは、生きていくための消費、生命を維持する食糧、体を保護する衣服など。
「筋肉の時代」とは、身体の筋肉機能の拡張のための消費、体力強化食品、筋肉の拡張としての建設機械。
脳と心をマッサージするとは、介護ロボットに対してアイボのような右脳商品、メンタルケアー・フーズ。
視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚を刺激して、見ているだけで楽しくなる食品も考えられるのでは。

味覚に甘い、辛い、酸味などがあります。
甘いはくつろぎ、辛みは覚醒、酸味はストレスの解消などの機能を持っていると言われています。
甘い、辛い、酸味の食品を作るのではおもしろくありません。
「くつろぎ」をテーマにして甘さを考える、くつろぎの甘さは、チョコレートの甘さではなく、 私には羊羹のような甘さが「くつろぎ」の甘さではないかと感じます。はちみつも「くつろぎ」味では。
「覚醒」を考えて、どんな辛みにするかを考える、栄養ドリンクには、覚醒感を増幅するための辛みが入っ ています。

ストレス社会に対して、酸味食品は魅力です。
女性が妊娠すると、柑橘類の酸味を欲すると言われています。
メンタルケアー・フーズがおもしろのでは。

仮説でした。
しかし、なかなかスムーズに仕事は進みませんでした。
プロジェクトに参加した企業担当者の、「脳と心を気持ちよくマッサージする時代」についてなかなか理解が 得られませんでした。これからは「脳と心をマッサージする時代」です。

日本オリエンテーション 松本勝英

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