1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

40. ニーズ開発アプローチ

ハッとした出会い⇒仮説

ニーズを発見・開発する方法として、ハッとした出会いにもとづく仮説づくりが重要です。

江崎グリコの創業者、江崎利一さんはカキの煮汁が捨てられているのを見て、グリコキャラメルを開発したそうですが、私の経験でもハッとした出会いが、商品開発のきっかけになっています。

健康をテーマに商品を開発した時のことです。
皇居周辺でジョギングをしていた中年の人たちを取材に行きました。
開発担当者が、ジョギングをしている人たちの「今日は足が軽い」「今日はスピードがある」「今日は体が重い」「今日は息が楽」という言葉が気になる。特に「今日は」の連発が何を意味しているのか引っかかるという気づきから、中年の人たちの健康ニーズとして「今日も元気だという確認」ニーズがあるのでは。
ハッとした出会いでした。
そこから、今日の元気度、今日の健康度を計測する機器があったらおもしろいのではと考え、開発したことがありました。20年近く前の話です。

また、ちょっと変な話ですが、食品の開発コンサルティングを行っていた時でした。
女性の鼻の下の産毛が濃くなっているコトが気になりました。 もしホルモンの変化によるものなら、味覚はどう変化するのか、食品の開発にとってチャンスになるかもしれない。確信はないのですが気になりました。
ある時、大手の化粧品の開発部長と話をしていたら、「そうなんですよ、私も気になっているのですよ」という話を聞きました。このことは新商品には直接結びつかなかったのですが、ハッとした出会いになったかもしれません。今でもホルモンの変化と味覚の関係は気になっています。

ヒット現象からそのWHYを発見し、キーワード化する。
ヒットのモノ・コト・ヒトはハッとする宝庫です。

地下鉄の中で化粧をしていることは、「遊動化」、家の「中」でやっていた化粧が、家の「外」に出てきた。「定住生活」の中に「遊動生活」が入ってきているのでは。新幹線内のパソコンなど同じ現象が見受けられます。

ピップエレキバンは「物理的機能」で、消費者はケミカルの効果は期待しているが、副作用などの不安を持っていた結果では。物理化粧品、物理医薬品の開発にとっての、ハッとした出会いになるかもしれません。

苦み、辛味食品は「文化的味覚」、これからの成熟時代では「文化的商品」が強く望まれてくるのでは。
まずい青汁は「機能味覚」、栄養ドリンクの味も機能味で成功したのかも。
これからの機能食品の開発には、効果を感覚的に確認するための「機能味覚」の開発が必要では。

アロエヨーグルト、それに続いた黒豆ココアは「ヘルシーの2乗化」では。ただのヘルシーでは魅力にならない、ヘルシー×ヘルシーにしないと魅力にはならないのでは。
また、赤ワインは、「おしゃれなヘルシー」、ヘルシーもかっこよくなければ。
スターバックスは、「1/4の非日常化」だったのでは。普段、普通の1/4の非日常化とは。

薄型テレビは「スタイリッシュAND高機能」、マッサージ、ヨガは「精神快感」、空弁、おいしい牛乳は「おいしさの進化」、地震、津波、キャッシュカードの不正使用、オレオレ詐欺から「平穏」、ヨン様は、母性刺激?、もう一度女したい刺激かも?これと関連して「父性刺激」はどうか。
ヒット現象からハッとした出会いを作るためには、

・ヒットのモノ・コト・ヒトの特徴から魅力になっている理由を考える
・ヒットのモノ・コト・ヒトの4W1H(WHO,WHAT,WHEN,WHERE,HOW)からヒット理由を読みとる
・ヒットのモノ・コト・ヒトの類似のモノ・コト・ヒトを考え、その共通性による魅力を考える。

ヒットのモノ・コト・ヒトは、ハッとする出会いの宝庫ですよ。
「今みなさんが気になっている、モノ、コト、ヒトは」
そして、気になっている理由を考えてみると、ハッとした出会いに出会えるのでは。

日本オリエンテーション 松本勝英

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