1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

25. 意図的2位戦略

日本では

ナンバーワン商品をどれだけ持っているかが企業の強さです。しかし全てがナンバーワンになることは困難です。
ナンバーワンが狙えなければ、「意図的な2位戦略」が戦略です。
日本の場合、仕方なく2位になってしまっているケースが多く、意図的に2位の戦略を組んで成功している企業はあまり見あたりません。
いくつかの成功事例として
マクドナルドの「速い」に対して、モスバーガーの「作りたて」は意図的な2位戦略の一つです。また、マクドナルドの「子ども」にたいして「大人」をターゲットにした2位戦略も組めるかもしれない。
都会中心、おしゃれな、スターバックスに対して、ドトールは素朴、庶民的で成功しているのでは。しかし、あまり成功のケースはありません。

意図的2位とは、トップに対する明確な選択軸の提案です。

トップの強さをマネしてしまうと、トップ商品を買えばよいことで、市場での存在理由がありません。
しかし、営業・流通サイドからは、トップの持っている特徴を自社商品にも取り込まなければいけないという意見が多く、どんどんトップ商品に似てくるというような状況になってしまっているのをよく見かけます。

意図的2位の戦略の成功ポイントは、トップの強さに対して、明確な選択軸づくりです。
2位、3位の商品に対して明確な選択軸を提示しても、せいぜい勝っても3位の商品でしかありません。
大事なことは、トップブランドに対する明確な選択軸です。
トップブランド・ユーザーに、トップ商品を買うのか、それとも、それとは異なる商品を買うかの選択を提示することです。

虫歯予防でトップになっているハミガキに対して、歯槽膿漏予防、歯を白くする、口臭予防、などで選択軸を提示すること。
デザインの良さでトップになっている商品では、その反対の無骨なデザインもおもしろいかもしれません。
ドライなビールに対して、味わい、爽やか、などの訴求をする。トップがビンなら、こちらは缶の魅力を訴求する。トップが家庭の中で飲まれているなら、こちらは屋外で飲むことの魅力を開発する。トップが酒販店で売られているなら、こちらはCVS中心に売っていく。トップが中高年をターゲットにしているなら、こちらは若さの魅力を訴求する。
あくまでトップに合わせないことが重要です。
しかし消費者にとって、魅力的な訴求点でないと効果はありません。蛇足ですが。

日本オリエンテーション 松本勝英

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