1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

21.「後発ナンバーワン戦略」

トップが射程内に入っているか

前回は「市場創造ナンバーワン戦略」について述べてみました。
ナンバーワン戦略はその企業、商品の置かれている状況で異なります。
「市場創造ナンバーワン」「セグメント市場ナンバーワン」「ニッチ市場ナンバーワン」「意図的な2位戦略」「オンリーワン戦略」そして「後発ナンバーワン戦略」などがあります。

今回は「後発ナンバーワン戦略」について考えたいと思います。
後発で、カテゴリーナンバーワンになるにはいくつかの視点が重要になります。
まず、トップが射程内に入っているかどうかです。トップのマーケット・シェアーが40%で、当社のマーケット・シェアーが10%では射程とはいえません。
挑んだとしても、たたかれて成果を上げないケースが多いです。
一般的には、トップのマーケット・シェアーの0.63掛以内が射程内だと言われています。トップの40%に対して、25.2%以上です。
射程内でなければ、射程内になるよういろいろなマーケティング・ミックスを活用して、シェアーを上げることが先決です。
射程内にあることを前提に、どんなチャレンジをすればよいのか。

30%以上の「リアルイノベーション」

 第1は、30%以上の「リアルイノベーション」です。
消費者が求めているリアルのベネフィットを、競合商品より30%以上イノベーションすることです。

ビールと発泡酒の価格差は30%以上あります。価格を重視したヘビードリンカーにとっては魅力です。5~10%の価格差ですと、このぐらいの安さなら、ビールの方がよいと考える消費者がいて、なかなかビールを抜くことが出来ません。
電気炊飯器の炊飯時間が30分だとすると、共稼ぎの女性にとって時間は魅力的です。30分×0.7=21分。20分は魅力的な炊飯時間になるかもしれません。台所が狭い家庭では、炊飯器の置くスペースが半分になれば魅力になるのでは。

ある冷蔵庫メーカーが、既存の350リッターの冷蔵庫の外形寸法で、庫内容積が445リッターになる冷蔵庫を発売しました。真空断熱にすることによって、壁面を薄くすることによって庫内空間を広くした冷蔵庫です。30%に近いイノベーションです。ヒット商品になると思いましたが、ヒットしませんでした。魅力が消費者に「理解」されなかったことが理由です。「理解化」についてはまたの機会にお話しします。しかし、競合のメーカーにとってはびっくりだったと思います。

「30%以上のリアルイノベーション」は、30%以上と定量的に明確化できる場合は、目標が明確になります。しかし、なかなか定量的明確化ができません。
30%という数字は、消費者から見て今までの商品とは異なり、「すごーく」「めちゃ」「わおー」と評価される商品です。
ちょっとの差では、トップを抜くことは出来ません。

次世代商品にチャレンジ

第2は、次世代商品の開発です。
東芝のノートパソコンは成功事例です。
デスクトップのパソコンが成功したとき、他社の成功を認め、同じデスクパソコンを開発するのではなく、次の世代のパソコン、ノートパソコンで1位になるアプローチです。
この考え方を、研究開発5原則で表現しているのが、キャノンです。
キャノンの研究開発5原則 1. 軍需目的の開発はしない 2. 環境エコロジーに反しない 3. 世の中にない技術商品の開発 4. 他社の成功を認める基本戦略5. 世界最適地で研究開発成果を上げた国で実用化。
4.の他社の成功を認め、同じことをやらない研究開発原則が、カラーコピー、バブルジェットプリンター、レーザービームプリンターの成功につながっています。

「上方展開」で次世代開発を

次世代商品を開発する方法として、「上方展開」という方法があります。
考え方は簡単ですが、有益な考え方だと思います。
「健康」の次のテーマを発見するときに、
「健康」それは、何のために求められているのか、の問いを発して、「健康」の上位の概念を発見することです。
「健康」それは何のために求められているのか?何のためでしょうか。
「生き生きと暮らしたい」という見方もできます。
「健康食品」の次は「生き生き食品」では。「生き生き食品」のコンセプトを明確にして提案することによって、「ポスト健康食品ナンバーワン」が開発できるのではないでしょうか。

日本オリエンテーション 松本勝英

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