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考えるヒント:学び合いの場

第15回「美・エステティックマーケティングと商品開発」10月23日(火)

化粧品メーカーの方々も参加し、美の概念、美のマーケティングの話に熱が入りました。

【まつもとかつひで(日本オリエンテーション主宰)メモ】
1. 美のテーマのきっかけは、商品コンセプトは美しくなければいけないと感じたことがきっかけでした。
2. 美とは
感性とは、高度に精神的な「美的体験」に関するものである。美を感じるためには、美しい言葉を持たなければならない。美しい言葉を持つことが出来れば、よりいっそう美しさを感じることが出来る。
3. 美の形
自然界の動植物のかたちは曲線の勾配(一次微分)の連続だけでなく、勾配の変化率(二次の微分)までが連続な曲線になっている。植物の葉や貝殻の曲線が美しいのはこのためで、直線から曲線に移るところに緩和曲線を入れるべきである。
4. 美意識の座標軸
内面の美−外面の美
自己志向−他者志向
知的な美−白痴美
機能美−形式美
日本的−無国籍
5. 日本人の美意識
「暗示」「簡素」「不均整」「無常」
6. 美と、綺麗、カッコいい、可愛いの関係は。美は、綺麗、カッコいい、可愛いを内包した上位の概念で、本能的・精神的な概念では。人間は透明なものを綺麗だと感じる。それともう一つ、遠くのものはみんな綺麗に見える。美しさとどう関係するのか。カッコいい、可愛いは相対的な美では?
7. 美のテーマの商品開発
健・美商品は、美・健商品にした方が成功するのでは。美・健に快をどう取り込むか。
8. 成熟時代の美と成長時代の美の違いは
成長時代の美は華やかさ、豪華的な美では。成熟時代は可憐、清楚な美では?
9. 自然な美と人工的な美
野草の美しさとは?
10. ONの美(表面的な美)INの美(内からの美)
これからの美は、ONからINへかな?

【高橋正二郎(日本オリエンテーションSDP研究所 客員主席研究員)メモ】
○「美」という字は「羊」と「大」から成り立っている。まるまると太った羊が美を表わしている。
・コンセプトの美しさ、雪の美しさ、数式の美しさなど、美しさを感じる場面はさまざまだ。
○人が美しくなることは実にさまざまな角度や方法で、皮相から内面まで考えられ試されてきている。
・美しくなることに対峙して張り合い追い求めてきたが、やっと自然体でつきあえるようになった。
・化粧品は内面の美しさを標榜しているが、現実は未達成で忸怩たるところがある。
・女性同士で共有する美もあり、「こんなことがいいらしい・・」的な身近な具体例を話し合う。
・化粧というガードに頼らず、自然にコミュニケーションできる姿が望ましい。
・外見的な美しさとは別に、周囲を明るくできる人に美しさを感じる。
・人を元気にさせる、場をつくることができるという振舞いの美しさがある。
○美とは生きる力であって、ワクワクすることや人からよく思ってもらうこと。これは健康にもつながること。
・美と健康は生きるための両輪のような存在だが、「快」を介在してつながっているようだ。
・洒脱や驚きなど、ワクワクする感じも美につながることと思えるのはとても楽しい。
○美しさの根源は生きることに専心する様子に見える。
・野草には生きることに専念したムダにない姿が美として表れている。
・アスリートの全力を振り絞るアクティブな姿やその意志に美しさが見える。
・自然と調和した呼吸法があるが、中には単なる健康法を越え生き方そのものになっている。
・あるがままに振る舞えることが心地よい美しさを生みだす。赤ちゃんが誰からもカワイイと言われるように、あるがままに笑ってみよう。
○成長社会での追い求める美しさに対して、成熟時代の滲み出る美しさが求められている。

【参加者のコメント】
<Aさん>
美とは人類の永遠のテーマだと思います。美しい自然の風景や芸術は人類の宝です。女性の美については特別な美の世界です。
Beauty Healty. Anti aging
この分野はクレオパトラより以前からあるのですから。
美をサポートする要因
Defensive effect
On 皮膚に載せたり刺激を与えたりする 化粧品 エステ
In. 体の中に入れる サプリメント
Positive effect
Do. Sports. Gym. Run. Bike. Swimming. Dance 活動的な事
Do. Culture. 生花 お茶 陶芸 創造性な事
すなわち美とは強い生命力だと思います。五感で感じて行動する事が艶やかな美だと思います。

<Bさん>
初めての参加で多少緊張しましたが、沢山の意見を聞くことができ非常にワクワクした貴重な時間を過ごすことが出来ました。
◎学んだこと、感想
美の切り口として、快。知。があげられること。
特に、知が今の世の中的に新鮮さや新しい価値として受け入れられる可能性を秘めていること。例えば、ミスインターナショナルに選ばれた初の日本人女性。受賞のポイントだろうものは彼女のスピーチ力。彼女の発する知性を持った発言が美のポイントとして捉えられたであろうこと。内面美という言葉が使われるが備わった知性が美的ポイントとして評価される風潮があること。
あと、興味深くスッキリ答えをもてず、今後も考えを深めたいと思ったのが、何故自然が美しいとされるのか?野草は確かにムダを省き自生することが全て。それを人間が美しいと感じ愛でるその基準は何処にあるのか…
化粧品業界に当てはめると、基礎化粧品のPRは美しさという言葉が頻発に用いられるがコスメには基礎化粧品ほど美という言葉を使用しない感覚があります。
まだまだ奥が深そうで、周りでも議論してみたいと思います。

<Cさん>
美の概念が広いことを改めて感じました。その美の概念は、また、1つではないような感じもします。
そこで、お互いに戦うのか?話合って、お互い歩み寄るのか?難しい判断ですね。
さらに、それをビジネスとするときに一緒というのは、難しい感じをうけました。
お互い、別々でも、その美の考え方に共感する生活者と一緒にすればいいのでしょうね。
美の商品開発ってやっぱり、競争・共感のような気がします。

<Dさん>
参加者の皆さんとの時間は、短時間ながら非常に密度が濃く、刺激的でした。
キーワードにも出てきましたが、今の日本は「成熟社会」のため、その時代環境に応じた「美」が求められているなと感じました。中でも、美を健型、快型、知型に三点分岐させた型は、まさに弊社が目指している部分だと思いました。このように定義づけられることが自然にできてしまうのは、異種混合戦だからこそでしょうか。
松本さんが、議論が進む中、適切なタイミングで「問い」や「まとめ」を入れてくださり、頭の整理をしながら考えることができました。
今回の場で得たアイデアは、即、今後のコンセプトワークや商品開発につなげております。