1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第135号

配信日:2005年05月10日

第135号
『いま、売れるには』『日本人のブランド好き』『ビールメーカーの広告費』『あの幸福感の正体は』『地味なのに目立っていたい』

★走り・旬・名残り
もう季節は初夏です。
と書いて、なぜこうせかせかと、そして、前に前にの表現をしてしま
うのだろうか?先へ先へが人間の本能なんだろうか?
和食の料理の世界で、走り、旬、名残の、食材を楽しむ世界がありま
す。生き方にも、走り、旬、名残をバランスよく、特に名残の余韻を
楽しむ余裕が欲しいものだと思います。

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21世紀ビジョンが語られています。
時代・市場・生活価値観の変化を引き抜き、次世代の新しいカテゴリ
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★マイカレンダー
4月19日(火)企業の方のご招待で、日本一おいしい、もつ焼きを食
べに。
新しいカテゴリー開発による飛躍と、企業体質を革新しようとしてい
る商品開発部門トップの意気込みを感じました。ジューシーで、鮮度
の良いもつ焼きは最高でした。

21日(木)22日(金)21年続いているセミナー、第84回「商品開発プ
ログラムのたて方」セミナー。2日で12時間の講義、自分にとっては
ライブ感覚で、参加企業の課題、ブレーク視点を入れて進化?してい
くのを楽しんでいます。
今回は食品、医薬品、化粧品、文具、アパレル、時計、玩具、情報機
器、サービスの企業の方々40人が参加しています。
22日(金)セミナー終了後、企業の企画部門執行役員と会食。勝手な
ことが言い合える中で、変化について話を。少し飲み過ぎ。

23日(土)毎年恒例の、企業の人達との竹の子掘りへ。竹藪を持って
いる東松山のTさんの家で数十本みんなで掘り、会食。いつもTさん
の奥さんにはご厄介をかけます。

25日(月)関西へ。定性データを定量的に分析する調査に基づくテー
マ開発。
市場構造の把握の重要性を基に、先行市場の動向把握と、意識と行動
のギャップからテーマを開発すること。
仕事を終えてホテルへ行く時に、脱線事故のニュースを見てびっくり。
この脱線事故は今の日本のあり方に対する警笛では。合掌。

26日(火)午前企業訪問。順調にいっていることに対して、どこで潮
目が代わるのかを考えると、おちおち出来ないとの話を聞き、同感。
午後、コンサルティングで企業へ。市場の変化へどう対応するか。
ドメインをどうするか。流れに乗ることも重要だが、自社の強さ、マ
ーケットにおけるポジションなども考えていかないと。結局は勝てな
ければ利益が出てこない。

27日(水)コンセプターのKさん来社。マツモト・ミネラルを読んで
いると元気が出るんですよ、と言う話を聞いて、素直によかったと感
じる。
午後、企業で商品の全社戦略を組んでいる方が来社。企業の商品に対
する理念の重要さの話。有意義でした。
夜、女性マーケッター、女性経営者2人と、六本木へ北京ダックを食べ
に。うまくて、おもしろい話をごちになりました。

28日(金)客員研究員のKさんが、元同僚のTさんと来社。K社で広
告の仕事をしていた本当の戦略実務家。企業主導による本当の広告の
あり方に共感。「マーケティングの7人の侍」集団結成に話が弾む。

5月6日(木)企業とミーティング。休みの仕事はプレッシャーを感ぜ
ず、何か楽しい。これからの事業開発体制をどう作るか。既存の事業
・商品を育てるノウハウはあるが、新規の事業・商品を生み出す力が
弱くなっている気がします。

事務所は、29日(金)から5月8日(日)まで10連休。
私は「アールデコ展」「映画」2本、流通センター「骨董市」と、3日
間事務所で1人仕事。快適でした。             
            日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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■『いま、売れるには』
★解  説
  婦人服は停滞感が強まっている。そんな中で売れる服とは。
「デザイナーがどれだけかっこよくて、個性的な服をつくっても、
それを着ていく場所がなければ誰も買わない。つまりどこに着てい
くか、何のために着るのか、というシチュエーションやモチベーシ
ョンをきちんと想定してつくらないと売れない。」
「『もてたい』のは今の女性の大きな購買動機になっていて、それ
は天候不順とは関係ない」「最近はシーズンレス・マーチャンダイ
ジングが重要になってきている。Tシャツや半袖のニットなど、気
候に左右されない商材を年間を等して販売する。若い女性は冬でも
半袖の上にカーディガンやジャケットを羽織っている。」
         谷口綾氏 オンワード樫山マーチャンダイザー
                   日経産業新聞2005.04.11

★ミネラル
 「定型」が陳腐になってきている。定型を壊す、壊す視点にシチ
ュエーション、モチベーションが重要な役割をしてくるのでは。
「もて服」は人間関係商品では。これからは人間関係視点がおもし
ろいのでは。
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■『日本人のブランド好き』
★解  説
 「ブランド」とは「つかみとることのできないもの、つかみとっ
てもするりと抜け落ちるようなもの」(石井淳蔵氏)
フランスの思想家ロラン・バルトが「表徴の帝国」の日本論の中で、
宝誌和尚像を例にあげている。それは表の顔が割れて、中から同じ
顔がもう一つ見えている仏像。おそらくその奥の顔が割れても、無
限に同じ顔が現れるということ。そこには実体としての顔はない。
あるのは顔という仮面だけ。そうした実体のない記号がすべてを支
配しているのが日本なのだと。ブランドはそもそも日本的構造に近
いもの。               建築評論家 飯島洋一氏

★ミネラル
 ブランドとは表徴で、実体のないものである。そう思うことが大
事で、そう思わせることがブランドマーケティングの本質なのだ。
宝誌和尚像は
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/butu/butu.html
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■『ビールメーカーの広告費』
★解  説
 ビールメーカー各社の商品別広告費。 
発泡酒首位のキリンは、今年の1ケース当たりの広告費の割合は、
ビール1に対して発泡酒1.1、第3のビール1.2で、各ジャンルにくま
なく。
サントリーは、ビール1に対して発泡酒0.5、第3のビール0.75の比
率を予定。ビールのモルツを中核に据える考え。発泡酒はマグナム
ドライなどの重点を絞って展開する考え。
アサヒは、ビール1に対して発泡酒1.03、第3のビール0.87、スーパ
ードライの強さが際立つだけに、第3のビールに対してしばらく様子
見。
                    日経産業新聞2005.4.6

★ミネラル
 ビール、発泡酒、第3のビールの市場構成がどのようになるのか。
各社の重点戦略は。市場は低価格に流れるのか。ビールユーザーは
固定するのか。場所、ターゲットによって飲み分けられるのか。市
場の構造変化に興味津々。
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■『あの幸福感の正体は』
★解  説
 子どもの頃は絵本の世界に簡単に入り込むことが出来た。大人に
なると絵本の世界に入り込めなくなる。幸福の正体が何となくつか
めた気がする。絵本の中に入り込めたのは、夢と現実の境界線を持
たなかったからだ。
              松井雪子作家 読売新聞2004.11.11

★ミネラル
 夢と現実に分けてしまうのが大人。夢と現実を分けないのが子ど
も。分けることによって理解したような錯覚に陥るが、「際」のと
ころに本質、おもしろさ、夢があるのでは。「際」に注目。
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■『地味なのに目立っていたい』
★解  説
 地味なのに目立っていたい。地味・派手という対立関係が崩れ、
一種の相乗り状態が生まれている。現代のヴィンテージ加工は、デ
ニムや派手な染色レザーに傷を付け、穴をあけ、ヒビを入れて「地
味なのに目立つ」。
パソコンや家電や自動車の、目立つシルバーはいつまでも古びず、
あせず、陳腐化しない、いわば「時間を超えた」イメージを保つた
めの高明度色として受容されている。時代を超越した古典技として
のモノクローム。
       生井英考 共立女子大学教授 読売新聞2004.11.17

★ミネラル
 地味だから目立たないは普通。地味にして目立つのがクリエーシ
ョン。反対修飾の世界がおもしろい。言語学では、「燃える氷」
「冷たい炎」などの反対修飾がよく使われます。反対修飾による魅
力の開発はおもしろいのでは。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第135号 (2005/5/10) (c) 1999 Japan Orientation
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