1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第152号

配信日:2006年01月06日

第152号
『文明の衝突と市場』『幸福の基礎は家族と地域』『環境立国日本』『自分をつくる』『縮小文明の展望』


あけましておめでとうございます。
  晴れにしよう、晴れになーれ。
       
       2006年正月

まだ私の脳は、私の持っている潜在脳の3%位しか発揮されていないという
思いを持っています。まだ発揮されていない脳に刺激を与え、少しでも広げる
ことが出来ればと考えています。

だいじに仕事をし、だいじに学び、だいじに遊ぶ。
みなさんと双方向で刺激のある「場」を作っていきたいと強く思っています。
本年もよろしくお願いします。

今回の5つは、岐路に立つ現在を考えるヒントを掲載しました。
■『文明の衝突と市場』
★解  説
 「文明の衝突 宗教や伝統文化が統合された「共同体」と、それらの共同体
 をつなぐ自由な「市場」がある。
 共同体の倫理は忠誠が重んじられ、目的のために敵を欺くことが賞賛される。
 いわば戦時における軍隊の道徳。
 それに対して市場の倫理では、誠実さが中心となり、見知らぬ客や外国人に
 対しても正直をつら抜いて取引をすることが賞賛される。
 この2つの倫理体型が誤った場所で使われると、醜悪な結果を招く(思想家
 ジェイン・ジェイコブス)。
 共同体の倫理が間違って市場の活動に適用されると、市場を支える「見知ら
 ぬ取引相手への信頼」が崩壊し、市場が機能できなくなる。
            「小林慶一郎の経済早わかり」 朝日新聞2005.1.9
★ミネラル
  何でも金儲け共同体の倫理が、市場の倫理の世界に間違って入ってきてし
 まっている。三菱自動車事件、建物強度偽装事件、悪徳リフォーム事件など
 が市場の場に入ってきていることに気をつけねば。映画「ザ・コーポレー
 ション」を見に行きましょう。
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■『幸福の基礎は家族と地域』
★解  説
 「幸福の基礎は家族と地域」ブータン内相 ジグミ・ティンレイ氏 幸福の
 基礎条件は健康、安全、公平性、正義など。特に社会を構成する基礎単位の
 家族が大事、これが壊れると社会が崩壊する。老人が尊敬される状況を維持
 できるように。経済成長は幸福を得るための数ある手段の1つにすぎない。
 地域や家族などの共同体にとって市場化の波は脅威。個人主義があまり強く
 なると共同体がばらばらになる。大事なのは固有の文化やよき伝統を伝える
 教育。                       朝日新聞2005.5.8

★ミネラル
  ブータンに今年行ってみたいと考えています。
 知り合いの企業の人が昨年の夏休みに行ったそうです。家族、文化をどう再
 建するか、難しいテーマです。「回復」が今年の大きなテーマでは。

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■『環境立国日本』
★解  説
  環境立国日本。デカルトの理性を持った人間を世界の中心に置き、自然を
 支配し、それによって武力と経済力を獲得することを最大と考える思想。
 もうひとつは国家の力を絶対化するホッブスの思想とする近代文明に対して、
 京都は天台本覚論が生まれたところ。
 天台本覚論は、動物ばかりか植物すら、すべての生きとし生けるものには仏
 の性があり、それらはやがて仏になれるという思想。近代思想に別れを告げ、
 人間は本来他の生きとし生けるものと同じであり、そのような生きとし生け
 るものと共存することを人間の使命と考える原初的人類の哲学に帰らねばな
 らない。
 森の神を持っている日本、森を壊し文明をつくった西欧。
 今こそ日本は環境立国の旗を揚げ、伝統に基づく日本の理想を世界に示すべ
 きである。 
                 梅原孟「反時代密語」朝日新聞2005.3.1

★ミネラル
  人間と自然との共生の理念に、アイヌの人たち、アボリジニの人たちの生
 き方が大切では。人間も自然の一つなのだという教育を、近代の中でどのよ
 うにしていくのか。中沢新一氏の本を読んでみようと思っています。

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■『自分をつくる』
★解  説 
  小さな職場や、モノつくりの場には、みんなが寄り集まって「自分をつく
 る」という雰囲気がまだ残っている。現代社会というのは「家族」が壊れて
 しまったから、疑似家族を一生懸命つくろうという社会でもある。治療のひ
 とつ、グループセラピーや断酒会もそうです。暴走族だってそう。家族が崩
 壊して、自分をづくりを助けるような人を失っちゃったから疑似家族を求め
 る。でもそれは、荒廃している学校の遊び仲間や、ネットを通じて集まる自
 殺志願者の仲間のように、自己破壊に向かうような危険な場になったりする。
                     なだいなだ 朝日新聞2005.8.5

★ミネラル
  信頼できる、自立する仲間を作ることが、日本オリエンテーションの目標
 です。身体感ある、生の「場」を作っていきたいと考えています。
 今年の大きな目標です。
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■『縮小文明の展望』
★解  説
  拡大、拡張、増大、増加こそが進歩であり発展であるという理念に対して、
 縮小、減少、撤退という概念。
 日本人は、隠居、盆栽、俳句、茶室など、縮小、撤退を追求した数少ない民
 族である。
 「サスティナブル・ディブロプメント」 生活水準の向上→経済活動の拡大
 →資源消費の減少→環境問題の緩和 
 「フアクター4」技術の挑戦 超高輝度発光ダイオードの照明 電子新聞、
 一般の新聞の5%のエネルギーで情報が提供できる。開発した自然環境を以
 前の状態に回復する、不要になった人工環境を時代に適合した利用方法を発
 見して活用する、要約すれば環境回復。
 「地産地消」地域生産・地域流通・地域消費 長野県 田中康夫 
 新しい里親制度、アダプトとは養子にするという意味。「アダプト・ア・ハ
 イウエイ」プログラム(道路の民間参加型清掃プラン)地域住民が里親にな
 って道路や河川を養子として、自分たちで育成していこうとするプラン。
 生命地域自然環境を基礎とする地域と、人為制度を基礎とした地域が一致し
 ていないことがいろいろな問題を起こしている。人為制度を自然環境に適合
 するように変更するという発想が「生命地域」の発想である。(bio region)
 伝統回復 「もったいない」という言葉、概念の復活 
「多様尺度」「不幸な家庭はどこも同様であるが、幸福な家庭はすべてに相
違している」 
 効率脱却 外部不経済の無視、負の連鎖拡大、グリーン国内総生産額 情報
 化社会では効率という概念が似合わない。情報はてこの原理。大量よりは、
 多様で少量の方がすばらしい。分散を目指す。
             「縮小文明の展望」月尾嘉男(東京大学出版会)

★ミネラル
  「サスティナブル・ディブロプメント」「フアクター4」「地産地消」
  「アダプト・ア・ハイウエイ」「生命地域」「もったいない」「多様尺度」
 どれもこれからを考えるにあったて魅力的なキーワードです。みなさんも
 一度読んでみませんか。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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★マイカレンダー12月29日(木)?2006年1月5日(木)    
29日から正月休み。29日は、映画「ザ・コーポレーション」を見に行き
ました。初めての映画館で、入ってびっくり、シートがバラバラ、お手製の映画
館でした。映画は、企業と社会の有り様を批判的に描いたドキュメントで、映画
監督マイケルムーアなども出演し、エンターテイメント性もあり、企業のグロー
バリズム批判など、なかなかおもしろい映画でした。おすすめ。
夜は、企業の方がお見えになって、事務所で忘年会。痛飲。来年への鋭気を入れ
る。
30日(金)デパートへ景気を見に。
1日?3日は、いつものように家族が集まり、酒を飲み、食べ、話し、新聞を
読み、テレビを見る普通の正月。1日の3チャンネルの「知るを楽しむ」がおも
しろかった。
4日(水)映画「ガラスの使途」を見に行きました。
新宿梁山泊の、金守珍監督、唐組の唐十郎主演、それに中島みゆきも。
レンズ(ガラス)の繊細、もろさ。物語のファンタジックと残虐性。映画と芝居
の両面性。魂のある映画で、おすすめ。
年末、年始とおもしろい映画を見ました。今年もせっせと行こうと思っています。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第152号 (2006/1/5) (c) 1999 Japan Orientation
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