1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:商品開発のセオリー スパーキング

28. 商品開発・成功体質をつくる -3「価格競争力を高める」

価格競争の激化

薄型テレビなどのAV商品は年30%価格低下を招き、企業が対応できず大きな赤字を生じている(「年間20%の下落なら利益が出るが、30%は厳しい。」パイオニア五月女専務)。日用品、食品などのコモディティー商品の店頭価格の低下が利益を圧迫(花王など優良企業も洗剤などの店頭価格の低下に悩んでいる)、それに加えて、海外の低価格品の洪水など(アジア価格、東欧価格)、また、ネットにおけるカカクコムなど、価格情報をいつでも入手することが出来、価格競争を激化させている。

価格の決定権は消費者に

価格競争の激化は、価格の決定権がメーカーから、流通、そして消費者に移ったことの結果です。
いまでは
コスト + 利益=売価
すなわち、これこれのコストがかかる、そのコストに自社の利益を加えた結果が、売価という考え方であった。
それに対して現在は
売価 - コスト=利益
まず売価ありき。この売価は消費者が買ってもよいという価格、すなわち消費者にとっての適価です。適価引くコストが利益になる。どれだけコストを下げるかによって利益が決まってくる。
しかし、適価の決定はなかなか難しいテーマです。
競合のメーカーに対して、高くても買ってくれる魅力のある商品をつくるか、コスト競争力で勝てるかが利益を決めてしまいます。

コストアドバンテージを許さない

競合メーカーに、コストアドバンテージを許さない。危機意識に基づく、戦略型コストダウンが重要です。
2005年4月2日の日経新聞の記事によると
「トヨタが新原価低減策 約3万点ある自動車の部品を、制御系や駆動系など数十の機能単位に集約し、グループ各社系列の部品会社も含めた生産や開発、調達に携わる人材が部門の枠を超えて参加する。各機能の性能を落とさずに部品店数削減や効率的な生産方式、原価の圧縮などに取り組む。これら部品群ごとにコストを削減する新たな原価低減活動を始める。『世界中でもっとも安い価格よりも、10%安い調達』を目指す」
戦略的、未来志向に基づくコストダウン計画です。

低コストの仕組みづくり

低コスト化の仕組み、企業風土をつくり、独自化を図ることも重要です。
「米航空サウスウエストは航空各社が減便や人員削減で縮小均衡に追われるも成長戦略を維持した。地上の電源から機内照明を、エンジンを空ぶきしないで燃料を削減。全保有機を同一機種にして整備費用を削減。航空機の待機時間を極端に減らす『25分ルール』25分以内という制限を設けたことによって時間オーバーをさけようと、時にはパイロットや非番の搭乗員までが手荷物の出し入れに手を貸す。大手の平均運行時間10時間に対して1日13時間、運行コストが(ユニットコスト)7ドル50セントと業界平均の半分。
サウスウエストが先端を走りつけたのは社員が自立的に日々の改善に取り組む企業風土を作り上げたことにある。」日経新聞2003.11.15
コストダウンの仕組み、制度化、風土づくりです。

間接コストの削減

製造・原材料費などの、直接コストの削減の重要性と同時に、間接コストの削減も重要です。小さな本社で、本社コストを削減、社内コミュニケーションコストを下げる、社外交渉コストを下げること。
商品開発の世界では企画と、研究、そして販売とのコミュニケーションのギャップによる時間、コストの目に見えない浪費が気になります。
花王などの継続的TCR(TotalCostReduction)活動なども代表的な競争力強化戦略です。注目。
日本オリエンテーションの継続的コスト・リダクション・プログラムに、興味ある方はお問い合わせを。

低価格戦略は成功しない

価格戦略のひとつに、低価格戦略がある。しかし成功の事例は少ないのが現状です。
消費者は「安い」から買うのではない。まず好きなものを選んで、その後で安いものを選ぶのであって、安いから選ぶのではない。安くてもホンモノでなければ売れない。
低価格が成功するのは、大きな利益の源泉を持っていることが前提です。大きな利益の源泉がないと消耗戦になる。T型フォード、マクドナルド、ユニクロが成功したのは、儲かっていたからです。利益源となる市場を持っていなければ低価格戦略は短期的利益しか生まない。
低価格の魅力は長期化しないし、一番安い1社しか残らない。
日本オリエンテーションは以前から「中価格高満足」商品開発の提案をしてきました。

高満足化・高付加価値のすすめ

コスト競争力を高めると同時に、価格競争激化で大事なことは、同一価格で商品価値を高め、消費者にとっての高満足化を図るか、高付加価値商品の開発が重要になります。
またの機会に、高満足・高付加価値商品開発について述べてみたいと思っています。

日本オリエンテーション 松本勝英

バックナンバー一覧 次のスパーキング