1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第226号

配信日:2008年12月16日

第226号
『東洋流「見えざる手」追及を』『「養情」で心豊かな国へ』『映画で感動......初めての体験』『弱いものいじめ醜い米国』『メスがオスを選ぶ巧妙さ』

2008年12月16日(火)
大変化の後に、新しい時代・市場・生活価値観が現われてきます。一元的価値観が終わり、多様な価値観が現われてきます。ヒューマン・マーケティングの時代です。
これからもおもしろい発信をしていきます。
2009年もよろしくお願いします。

2008年最後のマツモト・ミネラルです。
■『東洋流「見えざる手」追及を』
★気づき
 近代日本の企業家精神には、儒教や仏教、神道の伝統が影響している。アングロサクソン流の資本主義とは別の、そうした東洋的な価値尺度を提示できる経済学体系が求められている。「見えざる手」を操る神とは、西洋的な一神教ではなく、八百万の神々かもしれない。
 多神教的な神々の「見えざる手」の感触とはいったいどんなものなのか。やがてその八百万の神々の見えざる手をめぐり、私の胸の中に三人の日本人のイメージが点滅するようになった。渋沢栄一、出光佐三、松下幸之助である。
 渋沢栄一が、その生涯を通じてえた教訓は「論語」の精神に基づく事業経営だった。彼は産業活動と徳育が緊密な関係にあるべきと強調し、論語ソロバン説を唱えた。
 出光佐三の経営哲学は「人間尊重」と「家族主義」に基づくユニークなものだった。とりわけ江戸時代の禅僧、仙腰a尚に心酔していた。
 松下幸之助の経営哲学を支えるものに二つの心構えがあった。一つは弱者の身になって考えること、第二が負けることを知って立身せよ、である。
 日本資本主義の発展に尽くした三人の人生と事業を顧みると、儒教、仏教、神道の伝統が影を落としていることがわかる。
 異文化・異宗教の者同士が同じテーブルについて議論を始める。自己主張をぶつけ合う長い時間が流れ、最後に互いの見解が異なることを認め合っておひらきになる。その最後の唯一の合意事項にたどり着こうと四苦八苦している中でいつも気付かされるのが、その国際会議の土俵には一本の黄金の尺度しかおかれていないということだった。西欧社会から持ち出されてきた普遍主義という名の黄金の尺度である。
 もうそろそろ、われわれの側からももう一つの黄金の尺度があると声をあげてもいいのではないだろうか。「土俵は一つでも、尺度は二つ」。
                        宗教学者 山折哲雄氏  日経新聞2007.5.1

★コメント
 大きな変化の時代のその後を示唆しているのでは。
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■『「養情」で心豊かな国へ』
★気づき
 自殺の激増と殺人の続発は表裏一体の事象である。どちらも生命を尊ぶ人間らしい感情の欠如から起こる。日本人は豊かな情感を取り戻すべきだ。ある絵描きは「絵は魂の食べ物」と言ったが、そういう意味で、われわれが生きていくためには栄養やエネルギーを心に与え、情を養う必要がある。
                               五木寛之氏 日経新聞2006.6.26

★コメント
 こんな時代だから、落ち着いて「養生」をしなければ。ただし生きていける最低の保障を国がする条件で。
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■『映画で感動......初めての体験』
★気づき
 僕の家にはふみさんという若いお手伝いさんがいました。奉天の小学校低学年の時に、ふみさんと見た、田坂具隆監督の『路傍の石』は忘れられません。タイトルからして分からないし、つまらなそうだなと思っていたのですが、いつの間にか物語に引き込まれました。
 ふと気づくと、隣のふみさんが声をあげて泣いていました。映画館の暗闇の中で、ふっくらとした白いほほをびしょびしょにして。驚きましたねえ。この人は今、主人公の少年と悲しみを共有している、と子供心にも少しわかった。映画はただ面白いだけでなく、こんなにも人の心を揺さぶる力があるんだと、その時初めて知りました。それは、今日に至るまで僕の心を深く貫いている、強い強い体験になっています。
                       映画監督 山田洋次氏  読売新聞2006.11.23

★コメント
 源体験が「想い」をつくる。源体験をもとにした「想い」を作ろう。
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■『弱いものいじめ醜い米国』
★気づき
 弱いものいじめ醜い米国 ? 国旗保守主義ゆっくりと危険な道へ
国家が全体主義になるほど、国旗への愛情に執着する。ブッシュ大統領ら「国旗保守主義者」は本来あるべき保守主義と違い、中庸を尊ぶ精神が無い。チェイニー副大統領が「石油の支配を失えば米国経済の優位を維持できない」と計算しているのに、「米国が世界を一番うまく切り回せる」と考えている。敬虔なキリスト教徒であることと、豊かさを求める資本主義のジレンマに常に直面しているため、対外介入と孤立主義の間で揺れ、結果「聖戦」に食いついてしまう。子供の頃から命令され続ける「人間」にとって民主主義とは大きな賭けであり、ファシズムの環境のほうがむしろ自然である。
                             ノーマン・メイラー氏 朝日新聞2006.9.9

★コメント
 ノーマン・メイラーは過激な預言者です。
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■『メスがオスを選ぶ巧妙さ』
★気づき
 動物の世界では、競争で優位に立ったオスほど子孫を増やすと考えられている。しかし、メスが独自に選ぶ仕組みもあるらしい。
 野生のニホンザルの群れの6匹のメスについて、そのオスと何回交尾するかを観察した。最も子どもができやすい排卵周辺期に最も回数が多かったが、その時の相手は第二位以下のオスばかり。第一位のオスとは排卵周辺期の前や後の時期でまるで避けているようだった。
 「表向きは第一位のオスに従いながら、外見からはわからない排卵周期を利用して、新しいオスを選んでいる可能性がある」(山口大学 農学部 藤田志歩助手)
 強さや体の特徴でオスの競争が終わるとは限らず、それとは別の競争が続くことがある。交尾に成功した複数のオスの精子同士がさらに競うことから「精子競争」と呼ばれる。メスが選ぶ点を重視して「精子選択」と呼ぶ研究者もいる。
 北海道大学・北方生物圏フィールド科学センターの宗原弘幸所長は実験で、ニジカジカのメス一匹に産卵を四匹のオスと順に繰り返させ、子供のDNA鑑定をした。
「最初のオスの精子をそのあとも選ぶ仕組みが体内に備わっている証拠」と指摘する。

★コメント
 自然は一方的、単純な仕組みにはなっていない。複雑な仕組みがあるから、万が一なことがあっても生き残れるのでは。進歩とは単純・効率化だとするとは簡単には終末を迎えてしまうのでは。
                                      日経新聞 2006.11.12

■2008年マツモト・ミネラルの125のキーワードです。
日本オリエンテーションのホームページから気づき、コメントの内容を読むことができます。
何か感じたら本文を見てください。面白い偶然、ヒントが寝ているかもしれません。
http://www.jorien.com/hint/jkwb/

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                              日本オリエンテーション主宰 松本勝英

【マイカレンダー】2008年12月2日(火)〜12月15日(月)
12月2日(火)コンサルティング。商品のベネフィット(私は生活・ユーザーメリットと言っています)にもとづくポジショニング・マップづくり。開発テーマを考えるのに大変有効です。
12月3日(水)新規コンサルティング企業との打ち合わせ。シーズからコンセプト開発。

12月4日(木)商品開発大全。研究所マーケティング講演。製品、商品の違いと魅力商品開発の考え方。
12月5日(金)企業と社内教育の打ち合わせ。シーズからコンセプト開発へ。コンサルティング。既存大型商品の活性化。新しい生活提案と活性化。
12月6日(土)大阪、立命館大学院で、商品開発の講演。夜は、行きつけの京都先斗町「京菜」で客員研究員と快食。その後、京都の企業の方のワインを楽しむ会へ。
7日(日)紅葉の名残を楽しむ。

12月8日(月)9日(火)「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー。今年最後のセミナー。ちょっとほっとする。8日夜、セミナー参加者との自主的懇親会へ参加。人脈づくりに大変意義のある会です。
10日(水)客員研究員と新規コンサルティング打ち合わせ。
午後、コンサルティング。商品開発システムの革新。高速化、成功確率の向上、商品開発ノウハウの向上。
11日(木)午前、企業と新規コンサルティング打ち合わせ。情報価値の創造について。午後、企業とコンサルティング打ち合わせ。社内教育。夜、「マーケティングだべる会」。
15日(月)コンサルテイングスタート。商品特徴を生活・ユーザーメリットへ変換。製品を商品へ。

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第226号(2008/12/16) (c) 1999Japan Orientation
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