1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第80号

配信日:2003年01月15日

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・■■■       商品開発・マーケティングの       ■■■・
 ■□■  MATSUMOTO・MINERAL=MM(略称) ■□■
・■■■   発行者:日本オリエンテーション 松本 勝英    ■■■・
・・‥‥……… by Japan Orientation 等幅フォント推奨 …………‥‥・・
             http://www.jorien.com

  「空にして、空を楽しく満たす」2003年のモットーです。
 今年の正月はお酒を少しセーブして、本を読んでみました。元旦からの読書
 はなかなか気分がいいですね。
 「カミの震撼する日」(ピーター・タスカ)「人類最古の哲学」(中沢新一)
 「なぜみんなスターバックスに行きたがるのか」(スコット・ベドベリ)
 「心の時代を読み解く」(天外伺朗)何の脈絡もありません。

 「カミの震撼する日」は歴史的視点を持った証券ストラジストの、近未来シ
 ナリオ小説です。地政学視点から日本のあるべきポジションを描いたもので
 す。京大教授の中西輝政さんが、衰退の過程には4段階あって、第1段階は、
 「いままでとは状況が違う」という問題意識が生じる段階。第2段階は、改
 革が進まないことがだんだん見え始め、状況は一層悪化し続ける。デフレが
 深まり、国民のモラルや治安が崩壊の兆しを見せ、経済の手直しだけで流れ
 が止められない状況。小泉政権はこの段階の終わりのほう。第3段階に至る
 と、社会機能の大きな崩れが起きる。社会サービスができなくなる。第4段
 階になると、行政、治安の崩壊が常態化し、先進国から途上国に転落する。
 (読売新聞2003.1.3)「カミの震撼する日」は第3段階と第4段階の社会状
 況を見せてくれている。日本主義が台頭し、孤立化の謀略に翻弄されながら
 再生を模索する小説である。小説にすることによってリアルに時代が見えて
 くる。

 「人類最古の哲学」は神話の世界を分析し、神話の機能は、生と死、男と女、
 バーチャルとリアル、身分の高い低い、の両極を仲介する機能が埋め込まれ
 ている。神話の中に人間存在の本質が隠れている。神話の思考法を学んでみ
 ると今日がより見えてくるのでは。

 「なぜみんなスターバックスに行きたがるのか」は今流行のブランド論です。
 ナイキ、スターバックスを育てた実戦論は学者の戯言とは違います。製品価
 値と情緒価値融合したブランド価値づくりの実戦論で、おもしろかったです。
 ブランドの定義と人間の定義の類似性。ブランド開発にとって、中核顧客、
 将来の顧客、従業員の大切さ。直感の重視。コンシューマ・インサイトの徹
 底化。顧客が感じることを感じ、見るものを見、聞くものを聞き、かぐ匂い
 をかぐべし。チーフ・ブランド・オフィサーの重要性。失敗事例も参考にな
 ります。

 「心の時代を読み解く」ソニーのAIBOの開発リーダである土井さんの対
 談集です。
 宇宙・自然の美しさを感じ取る宗教的心=スピリチュアル、の重要性を説い
 ています。
 対談者の宗教学者、山折哲雄さんは「人間が人間として存在する条件は、1
 つは宗教、もう1つはエロス、つまりセックスの領域。宗教とエロスを失っ
 たとき、人間は果然に滅び、ゴキブリ段階まで退化してしまう。」「世界宗
 教が誕生する前に地球規模で広く信じられていた宗教意識が、今後浮上して
 いくだろうと考えている」「万物生命教」「やおよろず教」が重要。「2千
 から3千年前の人類史を振り返ってみると、もっとも根元的なところまで物
 事を考え抜いたのは、砂漠の人間だったと思う。例えばイエスであり、ブッ
 ダであり、老子であり。」「砂漠の思想と森の思想」の違い。

 天外さんの「GDPという指標で評価をすることをやめて測定の指標を変え
 た方がいい。例えば公共の場所に財布を忘れたときに戻ってくる確立とか−
 人々の平均的な正直さ」「権威と権力の分離、組織を上手く運営するポイン
 トは、魂に関するリーダーシップと実務に関するリーダーシップの2つを分
 離しながらかみ合わせること。ソニーの井深・盛田体制は権威と権限の分離
 だったのでは」

 宇宙学者の、佐治晴夫さんは「オーロラの写真を撮るとき、マイナス40度
 という厳寒の中で写真を撮るには、フイルムをいかに切らないように優しく
 巻き上げるかにこつがあるが、オートマチックだと上手くいかない。自動車
 もいかに速く走れるかということばかり目がいって、いかにきちんと止まる
 かというポイントは軽視されている。ドイツ車のポルシェの停まり方は世界
 最高のフィーリング。ライカのシャッターの音、すべての技術はそういう芸
 術的なセンスと無縁ではない。芸術との絡みの中には、常に美しい自然や生
 命の礼賛があって、それが宗教的につながって行く。宗教性の根底には、自
 然の巧みさや宇宙の美しさに驚嘆する感受性がある」。「最先端の量子力学
 の世界では、実在を実在たらしめるのは心、という世界が展開されている。
 心がそれを認識したとき、実存が実存となる。傘が傘として意味を持つのは、
 雨から身を守ることが出来たとき。けれど雨が降っていないときや、濡れて
 も気にならないとき、傘は傘として実存しない。傘を傘として存在させるの
 は、ただ心のあり方なのだ」
 哲学者の湯浅泰雄さんの「エチカ」、トランスパーソナル心理研究者の吉福
 伸逸さんの「徳」の話などなかなかです。4冊とも、豊かな、幸せ刺激でし
 た。感謝。
                 日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

 <伝言>
 松本のセミナー「いつも想いを持って、みなさんとハッとした出会いが出来
 れば」
 ★「商品開発プログラムのたて方30プラス6時間コース」
  1月22日スタートです。今回はいままでの30時間+6時間で、濃厚な
  内容です。部下の方の参加をお願いします。
  詳細、申込は http://www.jorien.com/seminar30+6.html
 ★「これからの『魅力』の開発」セミナー
  1月28日(化)13:30〜17:00
  消費者生活メリット開発、生活ディライト開発、感動開発、生活ポジティ
  ブ拡大提案、商品に「が」をつける。これからの「魅力」を開発するため
  の考え方、具体的方法論を開示します。行き詰まりを「脱する」セミナー
  です。
  詳細、申込はhttp://www.jorien.com/seminar-kaihatsu.html 
 ★「健康マーケティング開発コンサルティング」
  日本オリエンテーションのHPに「健康マーケティング開発コンサルティ
  ング」が出来ました。今後情報をどんどん発信していきます。ご期待を。
  http://www.jorien.com/kenko-top.html
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 ご興味ある方へご回覧下さい。新規申し込み登録を(無料です)。
 MATSUMOTO・MINERALのバックナンバーは以下のアドレスで
 ご覧になれます。http://www.jorien.com/mineral.html
 
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 ■□■…第80号の内容……………………………………………………‥‥・・
 ■■■ Table of Contents

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 ┛┛┛  『ナンバーワン戦略』
 ┛┛┛  『独自性開発』
 ┛┛┛  『マイメジャー』
 ┛┛┛  『日本的カッコよさ』
 ┛┛┛  『文化環境の創出』
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■『ナンバーワン戦略』
   ★解  説
      「強力なナンバーワン商品をいかに増やすかがグローバル競争を
     勝ち抜く最大な課題」「日本は店舗過剰で競争が激しい上、消費者
     の欲求水準が世界一厳しい。生鮮食品だけでなく加工食品でも鮮度
     を問題にし、品質やデザイン、きめ細かいサービスにこだわる」
     「乗り切るポイントは、生産、販売、情報技術、物流に至るまで徹
     底した低コストの体制整備を進め、世界に通用するか価格競争力を
     つける。もう一つは他社の真似が出来ない独創的な商品を開発する
     こと」「価格差は崩されるが、文化差は崩されない」「ストロング
     ・ナンバーワン商品。世界シェアー核酸調味料45%、飼料用アミ
     ノ酸のスレオニンとトリプトファンは70%、味の素は35%、ア
     ミノ酸系甘味料「アスパルテーム」は40%。国内に限ったストロ
     ングナンバーワンは、味の素、クノールスープ、アミノバイタル(
     100億円)」   味の素社長江頭邦雄 02.04.30日経流通新聞 
   ★ミネラル
      文化差でナンバーワンになることが、これからのポイントでは。
     いくら中国が頑張っても「ベンツ」は作れないのでは。これが自動
     車文化差では。みなさんの商品は文化差でナンバーワンですか。  
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■『独自性開発』
   ★解  説
     雑誌「サライ」の基本コンセプトは。
     1. ヤング文化に対して大人文化を。
     2. 便利で安いという文明的生活から生活を楽しむ文化生活へ。
     3. 新しいことに対して古いこと、伝統の魅力を再発見する。     
   ★ミネラル
      独自化とは流れに対して反逆することでは。差別化に対して独自
     化が求められています。音楽の世界でのインディーズの成功はナシ
     ョナル・ブランドへの反逆では。
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■『マイメジャー』
   ★解  説
     ・自分だけの商品に興味関心が高まる。
     ホンダのスクーター「ズーマー」や日本ビクターのヘッドホン「Be
     !」などにみられるように、企業は最低限の機能を持つ商品を素材
     として提供、見栄えの向上などの「味付け」は消費者の選択に任せ
     る手法がでてきた。
     消費者は自分の好みでデザインや色を選び、組み合わせることで
     「自分だけ」の製品を作れる。       2001.5.4 ?新聞
   ★ミネラル
      消費者が生産者(編集者)になることによって消費者の関与度が
     高くなり、愛着化が生まれてくるのでは。このような考えは今後も
     増えていくのでは。
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■『日本的カッコよさ』
   ★解  説
      民族主義の克服という点で、ひょっとすると日本は歴史上初めて
     世界の頂点に近づきつつあるのかもしれない。2002年ワールドカッ
     プの応援で自国のチームだけでなく、他国の応援を楽しんでいた。
     (トルコを応援した和歌山の村)。民族や国家単位の結束はいわば
     芝居の約束事であり、観客は承知の上で、「愛国ごっこ」を面白が
     って演じていたのでは。ダグラス・マッグレイ氏「日本の国民総ク
     ール(カッコよさ)」で、日本のひそかに攻勢を示しているのは文
     化であって、ポップ音楽から消費者用電子機器、建築からファッシ
     ョン、アニメから料理に及ぶ「日本的なカッコよさ」ポケモン、キ
     ティちゃん、北野武氏、宮崎駿氏、Jポップ、スーパーフラット。
                     山崎正和、読売新聞2002.7.29  
   ★ミネラル
      今までの日本の強さは、水、四季、教育、安全であったのでは。
     これからの強さはソニーのAIBO開発リーダの土井さんが述べて
     いるように「深美意識」では。美しいと感じる心が日本の強さにな
     らなければ。興味ある方は「深美意識の時代へ」(講談社)を読ん
     でみてはいかがでしょうか。
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■『文化環境の創出』
   ★解  説
      人類の未来進化法則から外れた先には、「反自然的存在である人
     間は、生物進化のレールから自ら降りてしまった。生物の進化は、
     自然環境への適応と自然淘汰によって進展する。大ざっぱにいえば、
     生物は自然環境(自然社会も含め)に適応するように、自分自身を
     変えていく。一方、人類は文化環境を創出した。人類進化は、自然
     環境と文化環境という二つの異質な環境への適応と淘汰によって進
     展した。人類は主体と環境が相互に作用しあう主体環境系の進化、
     あるいは創造的進化の舞台を拓いた」
             2001.6.23 朝日新聞 河合雅雄(京大名誉教授) 
   ★ミネラル
      文化的遺伝子としてのミームは、生物進化に比べて急速に変化し
     ます。この変化に対して進化していくことは並大抵ではありません。
     変化に慣れることが一つの打開策です。毎日小さな変化でも変化を
     経験する気持ちが大事では。

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 ■□■…「MATSUMOTO・MINERAL」とは……………‥‥・・
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    数年前から新聞、雑誌、本、いろいろな人との話し合い、そして自分
   で考えたことで、いろいろ考えるときの私のマーケティング・ミネラル
   となっているメモです。出所など明記をしなければいけないものも入っ
   ていますが、あるものとないものが入っています。ご了解ください。
   原則として毎月2回(1日と15日)みなさんのメールに投げ込んで行
   きます。触ってみてください。

   <ご協力のお願い>
   MATSUMOTO・MINERALは現在4000人以上の方にお読
   みいただいています。ぜひいろいろな方にお読みいただきたいと思って
   います。みなさんの周りの方にご紹介ください。
              
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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第80号 (2003/1/15) (c) 1999 Japan Orientation
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